創業は、1717(享保2年)。享保の改革で名将軍と讃えられた8代将軍徳川吉宗の時代です。黒田藩から酒造株を贈られ、宗像の地にて酒造りを始め今日に至りました。
銘柄「亀の尾」は、幻の酒米と言われた酒造米の亀の尾に因んで付けられました。酒米「亀の尾」は、山形県余目村の阿部亀治という米作りの研究家が改良に改良を重ね苦心して開発した米です。第8代目の蔵元が新種の気質に富んでおり、東北から杜氏を呼び寄せて酒造りをさせたとの記録があり、おそらくその杜氏がはるか山形から酒米「亀の尾」を九州に伝えたと言われています。しかし、「亀の尾」は稲丈が150cmと高く倒れやすく、病害虫に弱く戦時中に姿を消しました。ですが、第11代蔵元が「亀の尾に優る酒米なし」と長年酒造りの蔵人達の間で言い継がれてきた言葉を現実のものにしたく幻の酒米の復活を試み、福岡県の農業試験場と契約栽培を行い酒米を復活することができました。
九州・福岡の地に「亀の尾」が誕生した裏には、語られることなく時代の流れで埋もれていった余多の人々の苦労が隠されています。